映画「U.M.A. 2014 フォレスト・モンスター(Willow Creek)」感想と考察

「U.M.A. 2014 フォレスト・モンスター」はビッグフットを追ってパターソンフィルムゆかりの地を巡ったカップルの話です。

前半ではジャーナリストの彼氏と彼女がビッグフットの里、カリフォルニア州ウィロークリーク周辺を散策(観光?)する様子が映しだされます。巨大なビッグフット像、家の壁に描かれた絵、ビッグフットアベニュー、ビッグフットモーテルなど、街中ビッグフットだらけ。もちろん映画用のセットではありません。GoogleマップでWillow Creek を検索したところ、ビッグフットに関連するお店や施設がたくさん表示されました。

取材よりも先にビッグフットハンバーガー(足跡の形。不味そう)で小腹を満たす二人。プロ意識は高くないようで、ビッグフットの絵を指差して笑ったり、ことあるごとにいちゃいちゃしたり、謎の猿人を探す気はあるのでしょうか。それはまるで、友達が新婚旅行でふざけて撮影したスマホの映像を見ているかのよう。この緊張感ゼロのゆるーい映像が意外と心地よいんです。カメラが忙しくぶれないので見てて疲れません。バッチリ街の魅力を押さえています。

カップルは紛いなりにも住人にインタビューを重ねながら、ネタを集めます。このあたり、早送りを押したい衝動に駆られますが我慢。エンドロールで気付いたのですが、インタビューを受けた住人役はほとんど本人が出演。インタビューシーンが妙にリアルなのは、演技ではなく本人が自分の話をしているから、ということでしょうか。目つきの悪い住人の警告や自動車への落書きは演出だと思いますが、こちらもけっこうリアル。

森に入った2人を描く後半。待てども待てどもPOVホラーおなじみの展開に、、、、突入しないんです。何も見えない。出てこない。そして、どうしてここで?という場面で、「ゼロ・グラビティ」顔負けの20分に渡る長回しシーンが挟まれます。しかも鑑賞時は気付かないんですよ、動きが控えめすぎてw 観賞後に、そういえばあの場面、長くなかった??と後味の悪い違和感に気付づくはず。こんなに面白い演出をどうやって考え出したのかほんと不思議ですね。

長回しの後、ようやく映像展開に勢いがつきます。「ブレアウィッチ・プロジェクト」を彷彿とさせる驚愕のラストは観客を遠くに突き放すこと間違い無し。前半の観光シーンに隠された、とっても分かりにくい伏線を回収します。あのシーンはここにつながっていたんかい??とすぐさま巻き戻しボタンを押しました。

エンドロールのひとことは余計な気もしますが、全編を通して遊び心満載です。
No animals (or Bigfoot) were injured while making this motion picture
訳:撮影中、いかなる動物(やビッグフット)も傷付けていません。

痛い邦題とポスターが作品の質を著しく下げてしまっていますが、曇りなき眼で鑑賞すればかなり楽しめます。先に海外版のポスターを目にやきつけてから鑑賞しましょう。

考察※ネタバレ※

1.謎だらけのラスト
出てきたのは猿人ではなく、太ったおばさんだった。彼女は冒頭で主人公達がビッグフットハンバーガー店で見つけた貼り紙の行方不明者。紙には「2012年 4月17日にP J Bar.で最後に目撃」と書いてある。2014年までの2年間をどうやって生き延びたのか?時空を歪める山の呪い設定が無い限りは、誰かがご飯を与えてい たと考えるのが筋。それがビッグフットだったのでは?海外の映画掲示板にも同じような疑問と考察が載っている。

パンツ一丁のおばさんが人間 を卒業済みであるのは一目瞭然。ビッグフット(オス)により繁殖のため誘拐されて、精神が崩壊したと考えるのが妥当かと。ビッグフットと共に行動している のは間違い無い。肝心のビッグフットも映画の中では映し出されないので、実は毛むくじゃらの元人間という可能性だってありうる。彼氏は餌になり、彼女の方 は年老いたおばさんに代わってビッグフットの新妻になったとも考えられる。

2.ビッグフット飼育&隠蔽説
ウィロークリークの街の壁画に注目。ビッグフットが地元の人間達に命令され、働かされている絵。ビッグフットは哀しい顔。カップルは指を差して笑う。たし かに変な絵だ。その後、一部の地元の住人から警告をもらう。車に落書きも。森の入り口では怖い顔のおじさんから帰れと脅迫されるし。もしかしたらあの絵の 通り、ビッグフットは地元の住人によって密かに飼育されていた!と考えられないだろうか。つまり、彼らはよそ者を案じて警告したのではなく、秘密がバレる のを怖れて嫌がらせをしていたのだ。

3.実はハッピーエンド?
ビッグフットハンバーガー店で行方不明者の貼り紙を見ながらジョークを飛ばし合う二人。そこで彼氏は、「俺たち失踪したら幸せかも」「なんで失踪したら幸 せなの?」「ハハハ、わからないけど」と会話を交わし、最終的にその通りになる(劇中ではその後を見せないが)。俺は貼り紙に顔が載るぐらい有名になりた いんだ!という本望がチラッと見えるシーン。願いが叶ったからハッピーエンドじゃん!と微笑むべきか、口は災いの素と考えるべきか。

邦題:U.M.A. 2014 フォレスト・モンスター
原題:Willow Creek (カリフォルニアの山奥にある街の名前「ビッグフット」の聖地)
邦題の評価:意味が分からん。フォレストモンスターって何w 言いたいことは分かるけど作品を破壊する邦題はいかがなものでしょう。
勝手に邦題をつけるなら:「ビッグフット•プロジェクト」
ポスター画像:完全に詐欺。詐欺。詐欺。ヘリコプター??海外ポスターをそのまま使ってほしかった。。ビッグフットの足跡にドクロを重ねたお洒落なデザイン。

Willow Creek (2013) - IMDb 2015-10-29 01-21-34
IMDBでポスター画像をチェック!

構成:モキュメンタリー×POV
テーマ:都市伝説、U.M.A.、ビッグフット、アメリカ
舞台:アメリカ カリフォルニア州 ウィロークリーク
歩くビッグフットを捉えたパターソン•フィルムが撮影された森林が舞台です。ビッグフットの聖地として世界中からファンが集まる有名な街です。ビッグフット祭もあり、ビッグフットで町おこしをしています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Willow_Creek,_California

Google Mapで確認すると、ホテル、レストラン、リペアーショップ、土産物屋など、多数の関連施設を発見w

カメラの数:1台
手ぶれ度:中
※一応、ドキュメンタリー作家が撮影している体裁なので見やすい。
監督:ボブキャット・ゴールドスウェイト
⇒「ポリスストーリー」に出演したコメディアン。近年は監督として「ゴッド・ブレス・アメリカ」などを製作。
キャスト:アレクシー・ギルモア, ブライス・ジョンソン

以上、「U.M.A. 2014 フォレスト・モンスター」の感想でした。

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