映画「ワールド・コード 陰謀の支配者たち(The Conspiracy)」感想と考察

秘密結社は存在するの?しないの?秘密の儀式を見てみたい!そんな都市伝説マニアの好奇心をくすぐる「ワールド・コード 陰謀の支配者たち」。

本作は陰謀論にまつわる都市伝説ドキュメンタリー番組を視聴する体裁で、モキュメンタリーとファウンド・フッテージホラーの要素が絶妙にミックスされた良作です。

■知的好奇心を掻き立てる前半
前半は、番組のホストとなる2人のドキュメンタリー作家が、陰謀論者たちへの取材を通して、ミトラ神を崇める秘密結社タルススクラブ(Tarsus club)の存在を暴いていきます。わりと硬派なドキュメンタリー手法に従い、実在した歴史的人物の言葉やニュース映像、手の込んだ資料素材とインタビュー映像が交互に映し出します。

また、陰謀論にまつわる歴史や知識をそれっぽく説明する専門家たち(俳優なのか本人なのか分からない)が随所に登場することで、タルススクラブと史実における実在の事件との関連性に説得力を持たせています。そのため都市伝説マニアはもちろん、アメリカ近代史に興味がある人の知的好奇心も満たす内容となっているのです。

取材対象者が失踪したり、主人公の部屋が荒らされたり、謎の人間に追われたり、仲間同士で言い争う姿など、MMR的な展開(最高!)も入ってくるので、飽きることなくパッパッパっと話が進みます。

■秘密結社への潜入を試みる緊迫の後半
後半では、体に仕込んだ隠しカメラを通して秘密の儀式への潜入が描かれますが、前半とは打って変わり長回しによる荒い映像が中心になります。急に映画のテイストが変わり、当事者目線で事件の経緯を追体験する怒濤のホラー展開が待っています。ミステリアスな儀式や作法など、余すところなく映像で見せてくれるので秘密結社好きとしてはスッキリするのですが、最後の最後で意外なオチが。

え!?どうゆうこと!?もしや•••

トリッキーな作品構成に気がついた途端に、再び冒頭から再生すること間違いなし。”陰謀”とは何なのか?この番組(映画)は誰が作ったのか?思い込みと感情移入が強いほど、思わぬカタルシスに巡り合うでしょう。いかなるドキュメンタリーも映像表現のいち手法であり、編集されたフッテージです。事実を描いているとは限らないと気付かされました。

■海外ポスターのキャッチコピーにも注目
Everything in this story is a lie<TRUE>… Trust us.
このお話は全て嘘<真実>だ 我々を信じろ。

え、どっち!?? 素直に受け止めるか、深読みすべきか、悩みどころです。

■考察※ネタバレ有り※

1.タルススクラブ(Tarsus club)って本当にあるの?
⇒Google で検索するとoffical twitterやホームページが出てくるが更新停止中。映画のプロモーション用に作られたかどうかも謎。。実在するのか否か?掲示板で質問している人もい るが、意見は真っ二つに割れている。実在する国際組織をTarsus clubに置き換えて描いた、という意見も。
https://answers.yahoo.com/question/index?qid=20140519184515AA3we0n

2.タルススクラブの元ネタと噂される社交クラブは?
ボヘミアンクラブ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%98%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96

ビルダーバーグ会議
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0%E4%BC%9A%E8%AD%B0

3.ミトラ神って?
弥勒菩薩(みろくぼさつ)のサンスクリット語読みはマイトレーヤ、その語源はミトラ/ミスラと言われています。弥勒菩薩像を納める京都の広隆寺には日本三 大奇祭のひとつ「牛祭」があります。祭では奇妙な仮面をつけた摩多羅神(またらしん)が牛に乗り、赤鬼と青鬼を引き連れて行進するのだとか。近年は開催さ れていないようです。Google画像検索にかけてみると、不気味な写真や絵が表示されます。タルススクラブの比じゃありません。摩多羅神って何?という 新たな興味も沸いてきますね。ちなみに広隆寺を建てた秦氏は、シルクロードを移動し朝鮮半島を経由して日本やってきた古代ユダヤ民族の末裔と言う歴史研究 家もいます。(都市伝説好きにはたまらないネタ!)広隆寺周辺の仏教文化と映画に描かれるタルススクラブの儀式における、近すぎず遠すぎずの類似は、古代 イスラエルのミトラ神話を源流とした数千年に渡る文化の旅の到達点だ!とロマンチックにはしゃいでみると、より映画を楽しむことができます。

広隆寺
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%83%E9%9A%86%E5%AF%BA

■作品情報

邦題:ワールド・コード 陰謀の支配者達
原題:The Conspiracy(直訳:陰謀)
邦題の評価:悪くないが、ダヴィンチ•コードの二番煎じにみえてしまう。
ポスター画像:残念。フリーメイソンを意識し過ぎ。海外ポスターをそのまま使ってほしかった。シンボリックな陰謀名を重ねて、”とある”キャラクターをアスキーアートで表現。良質なドキュメンタリー作品にありそうな、ブラックユーモアが利いたお洒落デザイン。

The Conspiracy (2012) - IMDb 2015-10-31 23-57-12
IMDBでポスター画像をチェック!
構成:モキュメンタリー×POV
テーマ:都市伝説、秘密結社、陰謀、
舞台:アメリカ?
ニューヨークかと思ってましたが、カナダで作られた映画なのでトロントやバンクーバーかも。。
カメラの数:2〜3台
手ぶれ度:低
※ドキュメンタリー作家が放送用に撮影している体裁。観やすいです。
監督:クリストファー・マクブライド
キャスト:アーロン•プール、ジェームズ、ギルバート
アーロン•プールはカナダの俳優で出演作品も多い。2013年公開「恐怖ノ黒洋館」にも出演。

以上、「ワールド・コード 陰謀の支配者達」の感想でした。

コメントを残す